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社長インタビュー
独自の技術で保険業界のDXをリード
3つの事業のシナジーで成長を続けていく
全国の保険代理店や金融機関に対し、保険商品の検索、絞り込み、比較ができる「保険IQシステム®」「ASシステム」を中心とするシステムとサービスを提供。
創業以来、業界の発展を願って磨き続けてきた技術力は、官公庁からも高い評価を得ています。
その強みを活かした事業展開と2024年6月期の業績、今後の成長戦略について代表取締役社長CEO勝本 竜二がお話しいたします。
アイリックコーポレーションの事業内容について教えてください。
保険販売事業、ソリューション事業、システム事業の3つを展開。
デジタルを最大限活用した事業展開が当社の大きな強みです。
当社の事業は保険販売事業、ソリューション事業、システム事業の3つのセグメントに分かれております。
保険販売事業は、保険の商品の検索、絞り込み、比較ができる「保険IQシステム®」を活用した日本初の来店型保険ショップ*『保険クリニック®』の直営店運営と、法人営業を展開しており、セグメント別の売上としては50%以上を占めています。
ソリューション事業では、金融機関や保険代理店に対して「保険IQシステム®」の汎用モデル「ASシステム」「AS―BOX」を提供。また、『保険クリニック®』は全国にFC展開していますので、FC店に対するシステム提供や顧客送客・情報提供、店舗運営のノウハウの提供やプロモーションなどのサポートも行っています。
システム事業では、定型・非定型の活字・手書き文章を認識してデータ化する「スマートOCR®」や「保険IQシステム®」「ASシステム」といった保険分析・販売支援システム開発と、ソフトウエアの受託開発を行っています。
当社の最大の強みは「保険IQシステム®」という、他社が追随できないシステムの開発・運用技術を持っていることです。当社は「DX」という言葉がない時代から、お客様満足度を高めるためにはデジタルの力が必要になると確信し、2002年に開発着手、2004年に完成しました。それが今現在、商品情報が登録されている28社の保険会社**のなかからお客様に最適な商品を検索・比較できたり、現在加入中の保険をビジュアル化し保障内容を確認できたりする業界唯一のシステムとなり、当社の事業を支えています。
保険はこうしたシステムを通さなくても販売はできますが、保険業法改正以降(2016年)、当システムの重要性が増しており、また参入障壁はきわめて高く、現在の法律に適したシステムの開発と運用をワンストップで実現できるのは当社しかないと自負しています。
- *「日本初の来店型乗合保険ショップチェーン」※店舗数11店舗以上または年商10億円以上をチェーン店と定義 東京商工リサーチ調べ(2018年6月)
- **「保険IQシステム®」に登録されていない保険会社を含めると、当社では50以上の保険会社を取り扱っています。
2024年6月期(連結)予想を大幅に上回りましたが、その要因は何でしょうか?
直営店の来客数が増加し、保険販売事業が大きく伸長。
ソリューション事業では金融機関向けサービスが好調でした。
2024年6月期(連結)は売上高7,922百万円(前年比31.9%増)、営業利益495百万円(前年比163.7%増)、経常利益539百万円(前年比176.6%増)、当期純利益352百万円(前年比2,092.2%増)となりました。営業利益はコロナ前の2019年6月期の最高実績である563百万円には届きませんでしたが、当期純利益については、過去最高を更新しました。
計画を大きく上回って着地できた要因としては、第一に保険販売事業の売上拡大が挙げられます。コロナ禍に減少した保険ショップへの集客力の回復のために、テレビCMを中心としたプロモーション展開を実施。その結果、ブランド力の向上につながり、WEB予約による直営店への来店数が大幅に増加すると共に、FC加盟店への送客数増加という相乗効果も生み、収益が想定以上に拡大しました。
また、10月にM&Aを行った株式会社ライフアシストも予想を上回る大幅な増収となり、売上増に貢献しました。
また、ソリューション事業の売上も大きく進捗しました。なかでも金融機関向け「スマートOCR®」や、「ASシステム」などの当社独自の保険販売システムが好調でした。
システム事業は将来の営業強化を目的とした人財の確保・育成に注力したため、販売管理費、人件費等のコストが上昇。結果、利益を圧迫する形になりましたが、保険販売事業、ソリューション事業の伸長はそれを補って余りあるものでした。コロナ禍では収益が低下した保険販売事業を他の2事業がカバーしていましたので、いいバランスを保ちながら成長できていると考えています。
2025年6月期の計画と戦略について教えてください。
売上の55%を占める保険販売事業の売上を着実に積み上げ
金融機関、官公庁向けサービス及びシステムの導入拡大を目指します。
2025年6月期(連結)は売上高96億円(前年比約20%増)、営業利益7億円(前年比約40%増)で計画しています。新規出店(8店舗を予定)に伴って販売費及び一般管理費が20%程度増加することを踏まえ、堅実な成長を目指してまいります。
目標達成に向けての最大のポイントは、売上の55%を占める保険販売事業の売上を着実に積み上げることです。SNSやWEBによるプロモーションを強化し、『保険クリニック®』の集客数増加をはかります。
利益率が突出しているソリューション事業では、金融機関、保険会社に対するOCRサービス及びASシリーズの導入拡大がテーマです。新たなサービスとしては、今年の2月にふくおかフィナンシャルグループの傘下の3銀行へOEM提供した「SMART ロボアド LITE」があります。これは、最短5秒で複数の保険プランを試算できる保険ロボアドバイザーです。導入先ではNISA時代のニーズ喚起ツールとして高く評価していただいていますので、今期は全国の金融機関への導入拡大を目指します。
システム事業では、OCRサービスの関連サービス及び拡張パッケージなどの受託開発・提供を促進します。軸になるのは官公庁の入札案件です。官公庁の案件でこれまでの実績と同様に最も重視されるのは技術力で、当社はそこに絶対的な自信があります。要求されるサービスと機能のすべてを自社開発できるため、入札価格を抑えられるという強みもあります。また大手Sler企業との連携も強化するなど、積極的に採用した営業部門の人財も活かしつつあります。今期はエンジニアとバックオフィスの人財を確保し、システム事業全体の底上げをはかりたいと考えています。
今期は2023年に策定された「3か年計画」の最終年度です。
2年間の成果と「成長の年」と位置づけた最終年にどのような収穫が期待できますか?
2年間継続してきた積極的な投資は、徐々に効果が表れはじめている。
最終年度で投資効果をしっかり刈り取り、翌期以降の成長につなげていきます。
保険販売事業では、『保険クリニック®』のブランド力の向上に向けて、ターゲットを絞り、広告宣伝費を段階的に増加してきたことが、ショップへの来客数に表れています。特にテレビCMを定常化し、WEB広告の運用を継続した効果は絶大で、「3か年計画」の最終年度はさらなる来客数の増加を見込んでいます。
また、ソリューション事業ではOCRサービス及びASシリーズの導入を拡大するための基盤づくりができたと考えています。さきほども少し触れましたが、なかでも大きかったのは、今年の2月にふくおかフィナンシャルグループの傘下の3銀行へ「SMART ロボアド LITE」を提供できたことです。金融機関向けへの導入は現時点で40行という実績がありますが、この案件以降は他の金融機関からもロボアドバイザーに関するお問い合わせをいただく機会が格段に増えました。この事実からも今期は横展開による成長も期待できると考えています。
「3か年計画」を進行する過程で生じた変化としては、中小規模の保険代理店からのM&Aのオファーが急増していることが挙げられます。背景には深刻な後継者不足や人材不足があるのだと理解していますが、直接ご相談をいただけるのはとてもありがたいことです。このようなオファーが増えてきたことは、当社に対する信頼が高まっていると受け止め、しっかりと検討していきたいと思います。
3か年計画
(2023年6月期〜2025年6月期)
1年目「再始動の年」〜2年目「投資継続の年」〜3年目「成長の年」
保険業界は今、急速にDXが進んでいるところです。特に金融機関、保険会社からのニーズはきわめて高く、当社がお手伝いできることはたくさんあります。3か年計画以降も実績を重ね、技術力を高めて保険販売事業、ソリューション事業とのシナジーによる成長を目指してまいります。
株主、投資家の皆様へのメッセージをお願いします。
株主還元についても実現に向けて取り組んでまいります。
当社は2018年9月にマザーズ市場(現グロース市場)へ上場いたしました。それから間もなく新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、結果が伴わない時期が続きましたが、この3年間でソリューション事業とシステム事業は大きく成長を遂げました。2024年6月期(連結)は業績が予想を大幅に上回ったため、2期連続となる増配を実施いたしました。引き続き、積極的な株主還元に向けて取り組んでまいりますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
Column from the CEO
サステナビリティへの
取り組み
当社は顧客、メーカー(保険会社)、ディーラー(代理店)、この「三者利益の共存」の理念に基づき、すべての社員が同じ志を持って企業文化の確立に努めています。サステナビリティへの取り組みの一つに、認定NPO法人日本クリニクラウン協会(https://www.cliniclowns.jp/)へのチャリティ活動があります。
日本クリニクラウン協会は、臨床道化師を小児病棟に派遣し、入院している子どもたちが生きる力を取り戻し、笑顔になれる
環境をつくるために活動している認定NPO法人です。私たちは2016年から支援を開始し、毎年9月29日を「保険クリニックの日」と定め、11月末までの期間中、全国の店舗にご持参いただいた保険証券1枚につき100円を寄付金として計上しています。2023年は90万円を協会に寄付することができました。
また、毎年1月には、地域社会の活性化とスポーツ文化の振興に寄与するため、福岡県内の野球場に小学生を招待し、福岡ソフトバンクホークスのOBをコーチに迎えるチャリティ野球教室を開催。この会場内でも日本クリニクラウン協会への募金活動を行っています。
サステナビリティへの取り組みの一環として、社内では、育児と仕事を両立できるフレックス制度や時短勤務制度の導入と併せて、女性の管理職への登用も推進しています。その結果、女性管理職の割合は39.0%に達し、女性活躍推進法に基づく優良企業として、厚生労働省の「えるぼし」の最高位認定を取得しました。
すべての社員が心身とも健康的に就業できるよう、過重労働やハラスメントを防ぐ制度も整えていますが、私自身が最も大切にしているのは、社員とのコミュニケーションです。『保険クリニック®』をはじめ、現場の声を直接聞いて職場環境に反映できる経営者でありたいと考えています。
Financial Summary
決算サマリー
売上高
7,922百万円
前期比+31.9%
営業利益
495百万円
前期比+163.7%
親会社株主に帰属する当期純利益
352百万円
前期比+2,092.2%
業績推移
Our Business
イノベーションで未来を切り拓くアイリックの挑戦
アイリックコーポレーションは、「人と保険の未来をつなぐ Fintech Innovation」という企業テーマのもと、保険業界の発展や保険流通革命の実現を目指す企業です。
“「入らされるもの」である保険を「自ら選んで入るもの」にしたい”という想いで設立された当社。1999年、東京都文京区に『保険クリニック®』第一号店をオープン、その次に取り組んだのが「保険IQシステム®」の開発でした。お客様が生命保険の保障内容などを理解するのは簡単なことではないと考え、保険商品をグラフなどでビジュアル化し、他の商品と比較しやすい仕組みを整えました。
また、『保険クリニック®』だけでなく保険業界全体を変革したいという想いから、汎用版として「ASシステム」を開発し、大手企業のグループ内代理店や金融機関など、様々な保険販売事業会社様にも提供させていただくようになりました。
今では膨大な保険証券を読み取ったことで精度を高めたAI-OCR「スマートOCR®」や、「スマートOCR®」を活用したエコシステム「生命保険給付金支払いプラットフォーム」など様々なプロダクトを開発し、保険業界のDXを推進しています。
ビジネスモデル
保険クリニック®が提供する
「売り手」と「買い手」を結ぶフィンテックサービス
保険システム自体は一般的なシステム開発会社においても開発されていると認識していますが、当社システムの特徴は、保険に対する深い業務理解が設計に生かされていることと、お客様一人ひとり異なる意向の把握から検索・提案・申し込みまでワンストップで行うことができるといった点にあります。
使いやすさなどの改良も重ね、代表ソリューションの「ASシステム」は、全国の金融機関の4割近くに達する導入金融機関数40社とここ数年で一気に拡大しています。
顧客ターゲットとビジネスモデル
また、最近では保険領域にとどまらず、様々な業界にテクノロジーの力を活用した業務効率化支援を提供しています。
まずは、保険領域そして金融領域、最終的には業界に拘わらずカバーするイノベーション企業への成長を掲げています。
事業別売上構成比
祖業である保険販売事業を基盤に、
ソリューション事業とシステム事業の2事業で高い成長を目指す
主力事業は、保険クリニックの運営等を行う保険販売事業ですが、
当社の特徴はソリューション事業とシステム事業にあります。
現在は、保険販売事業が
売上の半分以上を占めるが、
将来的には事業ポートフォリオの
変化が見込まれる
当社の成長を担う注目事業
ソリューション事業
元々は当社の事業運営効率化を目的に自社で開発した製品を類似事業を運営する企業等にも提供し、新たな安定収益源として成長しています。
- ASシステム
- 複数の保険会社の商品を取り扱う金融機関や企業代理店が、生命保険の現状把握分析・検索提案ができるシステム
- AS-BOX
- 乗合保険代理店や保険販売会社が、お客様へ保険商品の提案ができる業界唯一のツール
当社独自開発
システム事業
保険領域を超え、様々な企業・団体から高い引き合い。
紙文書の効率的なデータ化による業務効率化やコスト削減を支援しています。
- スマートOCR®
- 官公庁やメガバンク等の大きな団体、企業をはじめ、手書き帳票の処理を効率化したい企業への導入が進む
- 受託開発
- 「保険IQシステム®」や「ASシステム」など の自社プロダクト開発や、取引先からソフト ウエア開発の受託
今後の成長戦略
Fintech企業として
成長していくために
保険販売事業の堅調な成長を基盤に、飛躍的な成長可能性を秘めるソリューション事業と
システム事業への効果的なアセット分散を行い、中長期的な拡大を目指します。
目指す姿
保険販売事業
- 店舗戦略
-
- 独自サービスでの直営店出店拡大
- 保険SHOPの新スタイルの構築
- ブランディング・マーケティング強化
ソリューション事業
- システムの
プラットフォーム戦略 -
- 生命保険募集人120万人市場
- 保険会社とのAPI連携拡大
- 他業種の保険販売支援
システム事業
- 『スマートOCR®』
戦略 -
- 様々なマーケットへの技術提供
- AI-OCRからAIソリューションへ